「かぼちゃの馬車」から学ぶ

「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズの前身スマートライフと取引をしたのは2014年12月のこと。
当時、相続物件の売却依頼を受けて都内の土地を販売したところ、他の建売業者より1割以上高い値段で買付が入りました。

そのころ都心部では働き手の不足がつづいており、「かぼちゃの馬車」では都内の企業と提携して地方から上京する女性の会員に、住まいと仕事を世話をするサービスを提供しているとのことでした。
契約の事前打合せで銀座の本社に行ったところ、社長をはじめ皆若いスタッフばかりで、最近の若い会社は色々な手法を考えるなと関心をしていました。

下図は実際の某建築計画ですが、戸数を多く入れ、水回りは共用のシェアハウスのプラン。ワンフロア―にトイレやキッチンは5~6世帯に1ヶ所、シャワーは2か所、洗面台と洗濯機は2~3台です。土地価格や建築コスト、想定賃料を計算すると8%以上利回りが出る計算でした。

契約上の買主はスマートライフですが、契約の2ヵ月後には個人の投資家が転売先として決まっており、購入費用は全額スルガ銀行からの融資。決済時にはそのまま二人のあらたな投資家に所有権は直接移転されました。

決済はもちろんスルガ銀行で行いましたが、スマートライフとスルガ銀行はツーカーの様子。いたってスムーズに取引は完了しました。

年収が数千万ある方には、数千万~1億位の額は投資額としては常識の範囲なんですね。年収+α位の投資話には乗りやすい。ましてや不動産は実物があるから安心感があります。おまけに銀行が全額融資してくれるとなれば、自己資金の持ち出し無しで購入できますし。(正直、スルガ銀行の金利では実質利回りは全く回りませんが。)

「かぼちゃの馬車」のケースに限らず、高収入の方にはこの手の不動産投資話は日常的に多数持ち込まれます。
そこで、しっかりとした知識を持ち将来の市場性を考えて購入することが投資家の責任ですが、営業も話が旨いから、希少物件ですとか、お客様だけ特別に確保しました。なんて言われるとつい契約してしまうのですね。

投資話の行く末

「かぼちゃの馬車」スマートデイズは2018年5月に破産手続きを受けます。

スルガ銀行も融資の際は、購入者の収入と不動産担保評価から返済能力は一応見ていたと思います。
問題は「かぼちゃの馬車」の運営システムが成り立っていなかったこと。入居者が確保できないのに、次から次へと不動産を販売し自転車操業を行い倒産をしたことが発端です。
スルガ銀行においても良質なお客様を紹介してもらえると、営業成績欲しさに無理をして行き過ぎた融資に発展したこと。
銀行側に投資計画を見て適正な判断ができる人材が不在だったこと。
ずさんな不動産投資に銀行が絡み、しかも契約金額の水増しが組織的に行われたとなれば、あきらかな不正融資です。

「かぼちゃの馬車」の事件ではスルガ銀行の融資方法が事件を大きくしましたが、この手の投資話や損失は日常的にあることを、投資家は自己責任としてしっかり認識を持つことです。
今回はスルガ銀行側の問題が発覚したため、借金の棒引きに応じてくれましたが、損失は本来は投資側の責任です。
最近も、某銀行からアメリカの不動産投資会社の紹介がありましたが、私どもが言うのも何ですが営業トークも上手いですよね。過去、銀行の紹介でどれだけの方が痛い思いをしたか。銀行の紹介だからと言って契約してしまうのはくれぐれも禁物です。