どこまでが「事故物件」?

本年10月に国土交通省より『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』が策定されました。
一昨年に検討会を設置。本年5月にパブリックコメントを実施し全7回の検討会を経て策定に至りました。
これまで、不動産において過去に生じた人の死に関する事案について明確な基準が無く、取引の際に説明する際に難しい判断を迫られていました。

弊社の管理するお部屋においても、過去何件かお部屋で亡くなられるケースがありました。隣室の方や友人、ヘルパーさんなどが異変に気付いてご連絡を頂き、入室をして発見されています。
これまですべてのケースにおいて、次にお貸しする際には亡くなられた状況をご説明をしてきました。

昨今、高齢化にともない室内で亡くなる高齢者の方が多くなってきました。すべてのケースで過去の説明をしなければならないとなると、高齢者にお部屋を貸すことをためらうオーナー様が増え、高齢者が部屋を借りれなくなることも社会問題として顕在化してきました。

こうしたケースに対応できるよう過去の判例や取引実務を踏まえ、「告げなくても良い」基準のガイドラインの策定に至ったことと思われます。

ガイドラインは法律ではないため、判断は個々のケースや最終的には裁判に委ねられることになりますが、こうした一定の基準が明確になったことはトラブルを防ぐためにも不動産取引上、大変有効です。

【告げなくてもよい場合】

原則では宅地建物取引業者は、人の死に関する事案が、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げなければならなりませんが、裁判例や取引実務等も踏まえ、現時点で妥当と考えられる「告げなくても良い」ケースの一般的な基準がとりまとめられました。

①【賃貸借・売買取引】取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)。
 ※事案発覚からの経過期間の定めなし。

②【賃貸借取引】取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過した後

③【賃貸借・売買取引】取引の対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死
 ※事案発覚からの経過期間の定めなし

告知について

告げなくてもよいとした①~③の場合でも、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案は告げる必要がある。
● 告げなくてもよいとした①~③以外の場合は、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、告げる必要がある。
●人の死の発覚から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は告げる必要がある。
● 告げる場合は、事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合は発覚時期)、場所、死因及び特殊清掃等が行われた場合はその旨を告げる。