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  2. 不動産投資・専門知識

不動産投資・専門知識

不動産投資・専門知識に関連する記事を紹介しています。

  • 2026年8月8日

    レントロールの見方完全ガイド|収益物件購入前に必ず確認すべき項目

    レントロールの見方完全ガイド収益物件購入前に必ず確認すべき項目 収益物件の購入を検討する際、売主や仲介会社から必ず提示されるのが「レントロール(賃貸借条件一覧表)」です。物件の収益力を数字で確認できる重要な資料ですが、初めて目にする方にとっては、どこをどう見ればよいのか分かりにくいものでもあります。 レントロールには賃料や契約条件といった基本情報が並んでいますが、その数字が「今後も同じ水準で継続する保証」を意味するわけではありません。記載内容を正しく読み解けないまま購入を進めてしまうと、想定していた家賃収入が得られなかったり、購入後すぐに大きな空室リスクに直面したりするケースも少なくありません。特に、初めて収益物件の購入を検討する方にとっては、どの項目が「そのまま信頼できる情報」で、どの項目が「注意深く裏付けを取るべき情報」なのかの見分けがつきにくいのが実情です。 本記事では、レントロールに記載されている基本項目の見方から、購入判断の際に見落としがちな注意点まで、収益物件を検討する際に押さえておきたいポイントを体系的に解説します。 弊社では賃貸管理を専門に取り扱う中で、日々多くのレントロールを扱っております。実務の視点から、購入判断に役立つ情報をお伝えします。 目次 レントロールとは?収益物件購入で重要な理由 レントロールの基本項目|まず確認すべきポイント 「稼働率」の実態を見抜く レントロールに潜む注意点・落とし穴 数字を「経営目線」で読み解く レントロールの精査はプロと一緒に レントロールとは?収益物件購入で重要な理由 レントロールでわかること レントロールとは、収益物件の各部屋(区画)ごとに、賃料・契約者・契約条件・入居状況などをまとめた一覧表のことです。物件が「今、どれだけの家賃収入を生んでいるか」を一目で把握できる、収益物件取引における基礎資料といえます。売買時には売主側から提示されるのが一般的で、購入判断の土台となる情報源です。 なぜ購入前の確認が重要なのか レントロールに記載された数字をそのまま鵜呑みにしてしまうと、実態とは異なる収益性を前提に購入判断をしてしまう危険があります。表面的な家賃合計だけでなく、契約形態や入居の継続性まで含めて確認することで、購入後に「思っていた収益と違った」という事態を避けられます。次の章から、具体的にどこを見るべきかを解説します。 レントロールの基本項目|まず確認すべきポイント 賃料・敷金/保証金・共益費の内訳 各区画の「賃料」だけでなく、「共益費」が別建てになっているか、賃料に含まれているかを確認しましょう。共益費込みの表記の物件と別建ての物件を単純比較すると、実際の収益力を見誤ります。また敷金・保証金の額や償却の有無も、退去時の原状回復費用の負担割合に関わるため、あわせて確認しておきたい項目です。 契約期間・契約形態(普通借家/定期借家) 契約が普通借家契約か定期借家契約かによって、オーナー側から契約更新をコントロールできるかどうかが大きく異なります。定期借家契約が多い物件は、契約満了のタイミングで賃料改定や用途変更がしやすい一方、普通借家契約中心の物件は、既存入居者との関係を前提とした運営になります。どちらが良い・悪いということではなく、購入後にどのような運営方針を取りたいかによって、望ましい契約形態の構成は変わってきます。契約期間の残存年数もあわせて確認しておくと、購入後の運営方針を具体的に描きやすくなります。 入居者属性・入居期間 法人契約か個人契約か、入居期間がどのくらい継続しているかも重要な確認事項です。長期入居者が多い物件は空室リスクが低い反面、賃料が周辺相場より低いまま据え置かれているケースもあります。逆に入退去が頻繁な物件は、募集コストや原状回復費用が継続的にかかる点を踏まえて収支を見る必要があります。 「稼働率」の実態を見抜く 満室想定と現況稼働率の違い レントロールや販売資料には、「満室想定利回り」が記載されていることがあります。これはあくまで全戸満室を前提とした試算であり、現況の稼働率とは別物です。実際に何室が入居中で、何室が空室なのかを必ず現況ベースで確認し、満室想定の数字だけで収益性を判断しないことが重要です。 空室期間・過去の入退去履歴 可能であれば、直近数年の入退去履歴や、空室が発生してから次の入居者が決まるまでの期間も確認しましょう。恒常的に空室期間が長い部屋がある場合、立地や間取り、賃料設定に構造的な課題を抱えている可能性があります。売主にヒアリングするか、管理会社を通じて過去の稼働状況を確認することをおすすめします。 空室が生じている理由の見極め 空室がある場合、それが「たまたま退去直後」なのか、「長期間決まらず放置されている」のかで意味合いは大きく異なります。後者の場合、賃料設定や設備の老朽化、周辺の競合物件の増加など、構造的な要因が潜んでいる可能性があるため、空室になっている経緯を具体的にヒアリングすることが重要です。 レントロールに潜む注意点・落とし穴 フリーレント・賃料サポートの見落とし 入居促進のために一定期間の家賃を無料にする「フリーレント」や、売主が一時的に賃料の一部を補填している「賃料サポート」が設定されている場合、レントロール上の賃料が購入後もそのまま継続するとは限りません。契約書の特約条項まで確認し、表面上の賃料と実質的な手取り賃料に差がないかを見極める必要があります。 直前の賃料アップ・相場との乖離 売却直前に賃料を周辺相場より高く設定し直しているケースもあります。近隣の類似物件の募集賃料と照らし合わせ、レントロール上の賃料が実勢に見合っているかを確認しましょう。相場より不自然に高い場合、退去後の再募集で同水準の賃料を維持できず、想定利回りを下回るリスクがあります。 サブリース(一括借り上げ)契約の扱いに注意 物件全体をサブリース会社が一括で借り上げている場合、レントロール上は「満室」に見えても、実際の入居者(転貸先)の稼働状況までは反映されていないことがあります。サブリース契約の賃料保証水準や契約期間、見直し条項の有無を確認しないと、購入後にサブリース賃料の減額改定を受けて想定収益を下回る可能性があるため、契約書の内容まで踏み込んで確認することが欠かせません。 数字を「経営目線」で読み解く 表面利回りだけで判断しない レントロールから算出される利回りは、多くの場合「表面利回り」であり、管理費・修繕費・固定資産税などの経費は含まれていません。レントロールの家賃収入をもとに、実際の運営コストを差し引いた実質的な収支を試算することで、購入後のキャッシュフローをより正確にイメージできます。 今後発生する修繕・原状回復コストとの照らし合わせ 築年数が経過した物件では、レントロール上の収益が安定していても、近い将来に外壁・屋上防水・設備更新などの大規模修繕が必要になる場合があります。レントロールの数字だけでなく、建物の状態や修繕履歴もあわせて確認し、中長期的な収支見通しに反映させることが大切です。 管理実務に精通した第三者の視点を取り入れる レントロールや重要事項調査報告書に記載された情報だけでは、入居者の実際の居住状況や建物の管理状態まで正確に把握することは難しい場合があります。購入検討段階で、賃貸管理を専門とする会社に物件の収益性や管理状況を確認してもらうことで、売主・仲介会社からの情報だけに頼らない、より客観的な判断材料を得ることができます。 レントロールの精査はプロと一緒に レントロールは収益物件の状態を映す重要な資料ですが、記載された数字の裏にある契約条件や入居実態まで読み解くには、賃貸管理の実務経験が欠かせません。表面上の家賃合計や利回りだけを見て判断してしまうと、購入後に想定外のコストや空室リスクに直面しかねません。 「このレントロール、本当に信頼できる内容なのか判断がつかない」「購入を検討している物件の収益性を客観的に見てほしい」という方は、契約を進める前の段階で、一度、賃貸管理を専門とする会社にご相談いただくことをおすすめします。 センチュリー21住宅流通センターでは、湘南エリアを中心とした賃貸管理・収益物件の実務知見をもとに、レントロールの読み解きから購入判断のご相談まで対応しております。収益物件の購入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。 無料相談・問い合わせはこちらをクリック

    不動産投資・専門知識
  • 2026年5月2日

    「家賃保証」は本当に安心?サブリース契約のメリット・デメリットを正直に解説

    「家賃保証」は本当に安心?サブリース契約のメリット・デメリットを正直に解説 はじめに 「空室でも家賃が入ってくる」「管理の手間がゼロになる」——サブリース契約は、こうした謳い文句とともに賃貸オーナーに勧められることが多い契約です。確かに魅力的な側面がある一方で、契約後にトラブルになるケースが後を絶たず、国が法律で規制に乗り出すほど問題が多発した経緯もあります。この記事では、サブリース契約のメリットを正しく理解したうえで、見落とされがちなデメリットと法律上のリスクを中心に、正直にお伝えします。 サブリース契約とは サブリース契約とは、管理会社(サブリース業者)がオーナーの物件を一括で借り上げ、入居者に転貸する仕組みです。オーナーから見れば、管理会社そのものが「借主」になります。入居者の有無にかかわらず毎月一定の賃料が支払われるため、「家賃保証」「一括借り上げ」とも呼ばれています。 メリット ・空室の有無に関わらず、毎月安定した収入が得られるサブリース契約の最大のメリットは、空室リスクをサブリース業者が引き受けてくれる点です。入居者が退去した月も、次の入居者が決まるまでの空白期間も、オーナーへの賃料の支払いは継続されます。 賃貸経営において、空室期間は収入がゼロになるだけでなく、その間もローンの返済や管理費・修繕積立金などの固定費は発生し続けます。特に複数の物件を所有している場合、一時的に複数物件で空室が重なると資金繰りに大きな影響が出ることもあります。サブリース契約であれば、そうした月々の収支の振れ幅を抑え、長期的なキャッシュフロー計画を立てやすくなるという点で、特に不動産投資初心者のオーナーにとっては大きな安心感があります。 ・管理業務の手間がほぼゼロになる通常の賃貸経営では、入居者の募集・内見対応・入居審査・契約手続き・家賃の集金・クレーム対応・設備トラブルの対応・退去時の立会いと原状回復の確認など、多岐にわたる管理業務が発生します。これらをすべて自分で行う場合、相当な時間と知識が必要です。 サブリース契約では、これらの業務の一切をサブリース業者が担います。本業が忙しくなかなか管理に時間を割けない方、物件が遠方にあって頻繁に足を運べない方、管理業務の経験が少なく対応に不安のある方にとっては、この省力化は大きなメリットです。賃貸経営を「ほぼ自動的に回る仕組み」として構築したい場合に向いています。・入居者トラブルの矢面に立たなくて済む家賃滞納への督促、騒音・ゴミ出しなどの生活マナーに関するクレーム、近隣住民との争いごと——賃貸オーナーが直接こうしたトラブルに巻き込まれると、精神的な疲弊は想像以上のものがあります。サブリース契約では、入居者との契約関係はサブリース業者との間にあるため、オーナーが直接トラブルの対応に当たる必要はありません。感情的な摩擦を避けながら、第三者的な立場で賃貸経営を続けられるという点は、特にオーナー業に不慣れな方にとって見逃せないメリットといえます。 知っておくべきデメリット ・受け取れる賃料は、市場相場より確実に低くなるサブリース業者は、入居者から受け取る賃料とオーナーへの支払い額の差額で利益を得ています。そのため、オーナーへの支払いは市場相場の80〜90%程度が一般的です。仮に相場賃料が月10万円の物件であれば、毎月8〜9万円しか受け取れない計算になります。この差額は月々1〜2万円であっても、10年・20年と長期にわたれば数百万円規模の損失になり得ます。「安定のために多少は仕方ない」という感覚で契約する前に、長期間でどれほどの差が生じるかを必ず試算することをおすすめします。・「家賃保証」は、ずっと同額ではない「家賃保証」という言葉から、契約期間中はずっと同じ金額が保証されると思い込んでいるオーナーは少なくありません。しかし実際には、契約から2〜3年が経過すると、サブリース業者から賃料の引き下げ交渉が行われるのが一般的です。 これには法的な根拠もあります。借地借家法第32条第1項には「借賃増減請求権」が定められており、「家賃保証」と謳われていても、入居状況の悪化や近隣の家賃相場の下落により賃料が減額する可能性があります。周辺相場の下落や建物の老朽化を理由に保証賃料が徐々に削られていくケースも多く、引き下げを断ろうとすると「それなら解約します」と事実上の圧力をかけられることもあります。「保証」という言葉の意味が、当初の期待と大きくかけ離れてしまうのが、この契約の典型的なトラブルです。・法律上、サブリース業者のほうが有利な立場にあるここが、サブリース契約の最も理解されていないポイントです。サブリース契約は、物件オーナーとサブリース会社との間で結ぶ賃貸借契約であり、オーナーが貸主・サブリース会社が借主となるため、借地借家法が適用されます。借地借家法では借主であるサブリース会社が保護されるため、サブリース会社の同意がなければ解約が難しい構造になっています。 具体的には、借地借家法第27条により、貸主が解約の申し出を行った場合でも申し出から6カ月を経過後にしか賃貸借契約は終了せず、さらに第28条により、貸主による解約の申し出には正当の事由があると認められる場合でなければならないとされています。この正当事由の有無は、貸主と借主とが建物の使用を必要とする事情、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況や現況、そして財産上の給付の申出(いわゆる立退料の提供)などが総合的に判断されます。つまり、「利回りをもっと上げたい」「物件を売却したい」といったオーナー側の事情は、正当事由としては認められません。さらに、正当事由を要することなく貸主から解約の申し入れをすることができるといった特約は無効とされます(借地借家法第30条)。つまり、契約書に「いつでも解約できる」と書かれていても、その文言だけでは解約できないのが実態です。・解約しようとすると、高額な費用が発生することがあるオーナー側からサブリースの解約を認めてもらえた場合でも、オーナーからサブリース会社に対して違約金の支払いが必要になることがあります。違約金の相場は家賃収入の約6か月分で、なかには1年分の賃料に相当する違約金を設定しているケースもあります。「物件を売却したいのに、サブリース契約を解約できないことで売却できない」というトラブルも起きています。「楽になれる」と思って選んだ契約が、将来の選択肢を大きく狭めることになりかねません。・管理会社が倒産すると、収入が突然ゼロになるサブリース業者が経営破綻した場合、入居者がきちんと家賃を払い続けていても、オーナーへの賃料の支払いは翌月から止まります。安定を求めて選んだ契約が、かえって最大のリスク要因になり得る点は、見落とされがちな落とし穴です。 ・自分の物件なのに、状況が見えにくくなるサブリース契約下では、誰が入居しているか、現在の入居率はどうか、物件内部の状態はどうなっているかといった情報を、オーナーが直接把握しにくい構造になっています。気づかないうちに物件が傷んでいた、長期の空室が続いていたにもかかわらず報告がなかった、といったケースも起きています。管理を任せることで楽になれる反面、大切な資産の状況を自分でコントロールできなくなるという点は、長期的な資産価値の維持という観点から大きなリスクといえます。 2021年施行の賃貸住宅管理業法で、何が変わったか サブリース方式では、家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが多発し、社会問題化しました。こうした背景を受け、2021年6月15日から、賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)が施行されました。この法律によって、主に以下の規制が設けられました。・不当な勧誘行為の禁止サブリース業者は勧誘をする際に、不都合な事実を隠したり、事実ではないことを伝えたりする行為が禁じられました。具体的には、将来的に賃料が減額になる可能性があること、サブリース業者から契約を解除する可能性がある点などについても事前の説明が必要になりました。また、相手が拒否をしているにもかかわらず何度も繰り返し勧誘することや、威圧的な勧誘、長時間拘束するような強引な勧誘も違反行為に該当すると定められています。・誇大広告の禁止広告の内容で、家賃支払や契約変更に関する事項について、著しく事実に相違する表示や実際のものよりも著しく優良または有利であると誤認させるような表示も禁止されました。例えば、かつてよく見られた「30年間家賃は一切下がることはありません」といった表示内容は誇大広告に該当します。・契約締結前の重要事項説明の義務化サブリース契約時の重要事項説明の義務化は、賃貸住宅管理業法のサブリース規制の大きなポイントとなります。重要事項説明をした後にオーナーが内容を検討するために、一定期間の時間をおかなければ契約を締結してはいけないことも定められています。・業者登録制度の創設と罰則の整備違反者に対しては業務停止命令や罰金等の措置により、実効性が担保されています。また、不当な勧誘行為への罰則の対象はサブリース事業者だけではなく、勧誘者も該当します。親会社や建築会社などの勧誘者が不当な勧誘行為を行った場合は、勧誘者への罰則に加え、サブリース事業者も同じく罰則を受けます。実際に業務停止処分を受けた業者もおり、重要事項説明書を交付しなかったとして15日間の業務停止処分が下されたケースも報告されています。 法律が整備されてもなお、構造的な問題は残っている この法律の施行により、悪質な業者への規制は強化されました。ただし、重要なのはこれらの規制があくまで「説明義務」や「勧誘の適正化」に関するものである点です。借地借家法による「解約の困難さ」という構造的な問題は、賃貸住宅管理業法によって変わってはいません。法律が整備されたからといって、契約内容の精査を怠ることは禁物です。契約書の内容を自分でしっかり読み込み、疑問点はその場で解消し、必要に応じて専門家に相談することが依然として不可欠です。 まとめ サブリース契約には、空室リスクの軽減・管理の省力化・トラブル対応からの解放という、賃貸経営を楽にする確かなメリットがあります。一方でその裏には、収益の低下・賃料の引き下げリスク・法律上の解約困難・業者倒産リスク・情報の不透明さといった、見過ごすことのできないデメリットが存在します。特に、借地借家法によってサブリース業者(借主)が手厚く保護される構造は、契約前に必ず理解しておくべき重要な点です。「家賃保証」という言葉だけに引きずられず、その裏にある条件・法律上のリスクを正確に理解したうえで判断することが、賃貸経営を長く安定させる最初の一歩です。 現在サブリース契約中で「このまま続けていいのか不安」という方、管理会社の変更を検討されている方も、センチュリー21 住宅流通センターへお気軽にご相談ください。 無料相談・問い合わせはこちらをクリック

    不動産投資・専門知識
  • 2025年8月11日

    賃料見直し・賃料改定の最新調停制度と成功する交渉術

    なぜ今「賃料見直しが必要なのか」 賃貸経営を続ける中で、「今の家賃は相場に合っているのか?」「賃料改定をしたほうがいいのでは?」と感じる瞬間はありませんか?近年、地価や建築費の上昇、インフレによる物価高騰などを背景に、賃料見直し(賃料改定・賃料増額請求)を検討する賃貸オーナーが増えています。 しかし、賃料改定は入居者との信頼関係に影響し、対応を誤ると賃料トラブルや長期空室の原因になることも。さらに、2024年以降は**「借地借家法」に基づく賃料見直しは、まず調停制度を活用する**という運用が強まってきました。 賃料見直し・賃料改定の法的根拠(借地借家法) 賃料の増額・減額は、借地借家法第32条に基づき、次のような場合に請求できます。 賃料増額請求・減額請求が可能な主な条件 周辺の賃料相場との乖離が大きい 地価や固定資産税などの経済事情が変化した 建物の改修や設備向上により賃貸価値が上昇した ポイントは、現行の賃料が「不合理」な状態になっているかです。単に「利益を増やしたい」という理由では賃料改定は認められません。 最新動向:賃料見直しはまず「調停制度」で解決 従来、賃料増額請求や減額請求で合意できなければ訴訟に進むケースがありました。しかし、近年の運用では、訴訟に入る前に調停制度での話し合いを行うことが推奨されるようになっています。 調停制度のメリット 費用が安い(印紙代・郵券代など数千円〜) 柔軟な賃料改定案が出やすい(段階的改定や一時据え置きなど) 入居者との関係維持が可能(対立構造になりにくい) 調停で賃料改定を有利に進めるための準備 調停を成功させるためには、賃料相場や経済変動の客観的データを揃えることが重要です。 必要な資料例 周辺の賃料相場データ(不動産ポータルや賃料査定書) 不動産鑑定士の評価書 固定資産税や地価変動の資料 改修・リフォームにかかった費用明細 賃料改定を通知する際のデメリット・リスク 賃料見直しの通知は、法律的に可能でも経営面・入居者対応面でのリスクを伴います。事前に理解しておきましょう。 1. 入居者が退去するリスク 賃料増額請求は入居者に経済的負担を与えるため、納得が得られない場合は退去につながる可能性があります。特に競合物件の空室が多いエリアでは注意が必要です。 2. 長期空室による収益悪化 退去が発生すると、次の入居者が決まるまでの空室期間が発生し、結果的に年間収入が減る場合があります。 3. ネガティブな口コミや評判低下 賃料トラブルはSNSや口コミサイトで広まりやすく、物件やオーナーの評判に影響する恐れがあります。 4. 調停・訴訟に発展する可能性 入居者が賃料改定に同意せず、調停や訴訟に発展すれば、時間的・精神的コストが増大します。 賃貸オーナーが取るべき賃料改定戦略 1. データ重視で説得する 賃料見直しの理由は、感覚ではなくデータで示すことが信頼獲得の鍵です。 2. 段階的な賃料増額請求 いきなり大幅な賃料改定ではなく、2〜3年かけて徐々に改定する案を提示すると合意が得やすくなります。 3. 妥協点を事前に設定 調停では双方が歩み寄る形になるため、事前に「譲れる範囲」を決めておきましょう。 賃料見直しの流れ(貸主側) 賃料相場調査と経済事情の確認 賃料改定の根拠整理(借地借家法に基づく) 入居者への事前説明・提案 合意できなければ調停申立て 調停で合意案を模索 合意成立後に契約書を更新 まとめ 賃料見直しは、賃貸経営を安定させ、資産価値を守るための重要な手段です。しかし、通知のタイミングや方法を誤ると、退去や空室、評判低下といったデメリットを招く恐れがあります。だからこそ、借地借家法の知識、調停制度の理解、賃料相場のデータ準備をしっかり行い、戦略的に進めることが成功の鍵です。 信頼できる管理会社や専門家と連携し、入居者との良好な関係を維持しながら賃料改定を実現しましょう。

    不動産投資・専門知識
  • 2021年11月1日

    どこまでが「事故物件」?

    本年10月に国土交通省より『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』が策定されました。一昨年に検討会を設置。本年5月にパブリックコメントを実施し全7回の検討会を経て策定に至りました。これまで、不動産において過去に生じた人の死に関する事案について明確な基準が無く、取引の際に説明する際に難しい判断を迫られていました。 弊社の管理するお部屋においても、過去何件かお部屋で亡くなられるケースがありました。隣室の方や友人、ヘルパーさんなどが異変に気付いてご連絡を頂き、入室をして発見されています。これまですべてのケースにおいて、次にお貸しする際には亡くなられた状況をご説明をしてきました。 昨今、高齢化にともない室内で亡くなる高齢者の方が多くなってきました。すべてのケースで過去の説明をしなければならないとなると、高齢者にお部屋を貸すことをためらうオーナー様が増え、高齢者が部屋を借りれなくなることも社会問題として顕在化してきました。 こうしたケースに対応できるよう過去の判例や取引実務を踏まえ、「告げなくても良い」基準のガイドラインの策定に至ったことと思われます。 ガイドラインは法律ではないため、判断は個々のケースや最終的には裁判に委ねられることになりますが、こうした一定の基準が明確になったことはトラブルを防ぐためにも不動産取引上、大変有効です。 【告げなくてもよい場合】 原則では宅地建物取引業者は、人の死に関する事案が、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合には、これを告げなければならなりませんが、裁判例や取引実務等も踏まえ、現時点で妥当と考えられる「告げなくても良い」ケースの一般的な基準がとりまとめられました。 ①【賃貸借・売買取引】取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)。  ※事案発覚からの経過期間の定めなし。 ②【賃貸借取引】取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死が発生し、事案発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)から概ね3年間が経過した後 ③【賃貸借・売買取引】取引の対象不動産の隣接住戸・日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃等が行われた①の死  ※事案発覚からの経過期間の定めなし 告知について 告げなくてもよいとした①~③の場合でも、事件性、周知性、社会に与えた影響等が特に高い事案は告げる必要がある。● 告げなくてもよいとした①~③以外の場合は、取引の相手方等の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、告げる必要がある。●人の死の発覚から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は告げる必要がある。● 告げる場合は、事案の発生時期(特殊清掃等が行われた場合は発覚時期)、場所、死因及び特殊清掃等が行われた場合はその旨を告げる。

    不動産投資・専門知識
  • 2021年8月1日

    「かぼちゃの馬車」から学ぶ

    「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズの前身スマートライフと取引をしたのは2014年12月のこと。当時、相続物件の売却依頼を受けて都内の土地を販売したところ、他の建売業者より1割以上高い値段で買付が入りました。 そのころ都心部では働き手の不足がつづいており、「かぼちゃの馬車」では都内の企業と提携して地方から上京する女性の会員に、住まいと仕事を世話をするサービスを提供しているとのことでした。契約の事前打合せで銀座の本社に行ったところ、社長をはじめ皆若いスタッフばかりで、最近の若い会社は色々な手法を考えるなと関心をしていました。 下図は実際の某建築計画ですが、戸数を多く入れ、水回りは共用のシェアハウスのプラン。ワンフロア―にトイレやキッチンは5~6世帯に1ヶ所、シャワーは2か所、洗面台と洗濯機は2~3台です。土地価格や建築コスト、想定賃料を計算すると8%以上利回りが出る計算でした。 契約上の買主はスマートライフですが、契約の2ヵ月後には個人の投資家が転売先として決まっており、購入費用は全額スルガ銀行からの融資。決済時にはそのまま二人のあらたな投資家に所有権は直接移転されました。 決済はもちろんスルガ銀行で行いましたが、スマートライフとスルガ銀行はツーカーの様子。いたってスムーズに取引は完了しました。 年収が数千万ある方には、数千万~1億位の額は投資額としては常識の範囲なんですね。年収+α位の投資話には乗りやすい。ましてや不動産は実物があるから安心感があります。おまけに銀行が全額融資してくれるとなれば、自己資金の持ち出し無しで購入できますし。(正直、スルガ銀行の金利では実質利回りは全く回りませんが。) 「かぼちゃの馬車」のケースに限らず、高収入の方にはこの手の不動産投資話は日常的に多数持ち込まれます。そこで、しっかりとした知識を持ち将来の市場性を考えて購入することが投資家の責任ですが、営業も話が旨いから、希少物件ですとか、お客様だけ特別に確保しました。なんて言われるとつい契約してしまうのですね。 投資話の行く末 「かぼちゃの馬車」スマートデイズは2018年5月に破産手続きを受けます。 スルガ銀行も融資の際は、購入者の収入と不動産担保評価から返済能力は一応見ていたと思います。問題は「かぼちゃの馬車」の運営システムが成り立っていなかったこと。入居者が確保できないのに、次から次へと不動産を販売し自転車操業を行い倒産をしたことが発端です。スルガ銀行においても良質なお客様を紹介してもらえると、営業成績欲しさに無理をして行き過ぎた融資に発展したこと。銀行側に投資計画を見て適正な判断ができる人材が不在だったこと。ずさんな不動産投資に銀行が絡み、しかも契約金額の水増しが組織的に行われたとなれば、あきらかな不正融資です。 「かぼちゃの馬車」の事件ではスルガ銀行の融資方法が事件を大きくしましたが、この手の投資話や損失は日常的にあることを、投資家は自己責任としてしっかり認識を持つことです。今回はスルガ銀行側の問題が発覚したため、借金の棒引きに応じてくれましたが、損失は本来は投資側の責任です。最近も、某銀行からアメリカの不動産投資会社の紹介がありましたが、私どもが言うのも何ですが営業トークも上手いですよね。過去、銀行の紹介でどれだけの方が痛い思いをしたか。銀行の紹介だからと言って契約してしまうのはくれぐれも禁物です。

    不動産投資・専門知識

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