【湘南の空き家問題】放置するとどうなる?
地域の実情と解決策を徹底解説

総務省が2024年に公表した「住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は900万戸に達し、空き家率は13.8%と過去最高を記録しました。
この30年で空き家の数はおよそ2倍に増えています(注1)。
茅ヶ崎・平塚・寒川・藤沢を中心とする湘南エリアも例外ではありません。
海と緑に囲まれた住みやすさから移住先・別荘地としても人気のエリアですが、その裏側で「相続したものの使い道がない実家」が年々増加しています。
実際に茅ヶ崎市内では、相続後に管理が行き届かなくなった空き家が「特定空家等」として行政から措置命令を受けた事例も公表されています。
本記事では、公的データや実際の事例をもとに、茅ヶ崎・平塚・寒川・藤沢における空き家の実情と放置することで生じるリスクを詳しく解説するとともに、「売却」だけではない解決策として、賃貸活用という選択肢をご紹介します。
目次
- 湘南エリアで空き家が増えている理由
- データで見る茅ヶ崎・平塚・寒川・藤沢の空き家の実態
- 空き家を放置するとどうなる?知っておくべきリスク
- 「空き家=売却」だけが解決策ではない
- 空き家を賃貸物件として活用する際のポイント
- 弊社の賃貸管理サービスでできること
- まとめ|湘南の空き家、放置する前にまずはご相談を
湘南エリアで空き家が増えている理由
まずは、なぜ湘南エリアで空き家が増加しているのか、その背景を整理します。
神奈川県は2018年から2023年の5年間で総住宅数の増加率が5.9%と、全国でも沖縄県・東京都に次ぐ高い伸びを記録しています(注1)。
新築供給が続く一方で、既存住宅の中には利用されないまま取り残されるケースも少なくありません。
相続した実家・別荘が使われないまま放置されるケース
湘南エリアでは、親世代が暮らしていた実家や、休暇用に購入した別荘を相続するケースが多く見られます。
相続人がすでに別の場所に生活拠点を持っている場合、「住む予定がない」「売却するにも手続きが面倒」といった理由から、そのまま空き家として放置されてしまうことが少なくありません。
後述する茅ヶ崎市の事例のように、所有者の死亡をきっかけに管理不全が進み、最終的に行政の措置命令に至るケースも実際に発生しています。
「売るほどではないが住む予定もない」という所有者心理
湘南エリアの不動産は比較的価値が高いため、「今すぐ手放すのはもったいない」と感じる所有者も多くいます。
しかし、明確な活用方針がないまま所有し続けることで、固定資産税や維持管理の負担だけが積み重なっていきます。
「いつか使うかもしれない」という曖昧な判断が、空き家問題を長期化させる一因となっています。
湘南特有の別荘地・郊外住宅地としての事情
茅ヶ崎・藤沢の海沿いエリアには古くからの別荘・保養用住宅が点在する一方、平塚・寒川といった内陸エリアでは、昭和期に開発された住宅団地の高齢化・世代交代に伴う空き家化が進んでいます。
特に旧耐震基準(昭和56年以前)で建てられた住宅は、耐震性や接道条件の問題から売却・賃貸ともにハードルが高く、結果として空き家のまま取り残されやすい傾向にあります。
データで見る茅ヶ崎・平塚・寒川・藤沢の空き家の実態
感覚的な話だけでなく、実際のデータからも各市町の空き家の実情を確認しておきましょう。
全国・神奈川県の空き家データ

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年10月時点の全国の空き家数は900万戸、空き家率は13.8%で過去最高となりました(注1)。
神奈川県の総住宅数は477万戸で東京都・大阪府に次ぐ全国3位の規模となっており、住宅需要の高さがうかがえます(注1)。
茅ヶ崎市:南湖・海岸地区で空き家率が高い傾向
茅ヶ崎市が令和元年度に実施した空き家実態調査によると、市内の一戸建て等57,596件のうち現地調査対象とした3,463件の中から、外観目視で1,575件(調査対象の2.7%)が空き家と想定されました。
地区別に見ると、南湖地区3.6%、海岸地区3.5%、茅ヶ崎地区3.9%など、海に近いエリアで比較的高い空き家率となっています。
所有者アンケートでは、相続により所有したが利用していないと答えた方が14.0%、別荘等の二次的住宅として利用していると答えた方が14.8%を占めました(注2)。
平塚市:空き家の2割近くが「腐朽・破損」の状態
平塚市空家等対策計画によると、住宅・土地統計調査ベースで市内の空き家数は13,770戸、空き家率は11.2%となっています。
このうち18.2%にあたる約2,510戸は腐朽や破損などの問題を抱えており、全国・神奈川県平均とほぼ同水準の深刻さとなっています。
さらに、空き家が建つ敷地のうち約36%(4,910戸)は建築基準法上の接道条件(幅4m以上の道路に2m以上接すること)を満たしておらず、建て替えが困難な「再建築不可」の土地が多く含まれている点も特徴です(注3)。
藤沢市:2019年調査で1,720件を空き家と判定
藤沢市の住宅マスタープラン資料によると、賃貸用・売却用等を除く「その他の空き家」は、2008年(平成20年)の4,940戸から2013年(平成25年)には4,910戸とほぼ横ばいで推移した一方、より広義の空き家全体で見ると、同時期に17,100戸から22,890戸(約1.3倍)へと著しく増加しています(注4)。
空き家の種類によって増減の傾向が異なるため、所有物件がどのタイプに該当するかを把握しておくことが重要です。
寒川町:町独自の空家等対策計画を策定し対応を強化
寒川町では2022年(令和4年)1月に「寒川町空家等対策計画」を策定し、適切な管理が行われていない空き家について、固定資産税の住宅用地特例(最大1/6の減額)を解除する仕組みを含めた対応方針を明確化しています(注5)。
町域はコンパクトながらも、他の湘南エリア同様に相続を機とした空き家化が進んでおり、早期の相談体制づくりが進められています。
空き家を放置するとどうなる?知っておくべきリスク
空き家を放置することには、資産面・法律面・生活面でさまざまなリスクが伴います。
ここでは代表的なリスクを、茅ヶ崎市の実例とともに解説します。
建物の老朽化・資産価値の低下
空き家は人が住まなくなると、換気不足による湿気やカビの発生、雨漏り、シロアリ被害などが進行しやすくなります。
数年放置するだけで修繕費が大幅に膨らみ、いざ売却や賃貸を検討した際に「そのままでは使えない状態」になっているケースも珍しくありません。
平塚市の調査で空き家の2割近くがすでに腐朽・破損の状態にあることからも、時間の経過とともに状況が悪化しやすい実態がうかがえます(注3)。
「特定空家」指定による固定資産税増額
適切な管理がされず、倒壊の危険や衛生上の問題があると判断された空き家は、「空家等対策特別措置法」に基づき「特定空家等」または「管理不全空家等」に指定される可能性があります。
指定を受けたあと自治体からの勧告に従わないと、住宅用地に対する固定資産税の軽減措置(小規模住宅用地で最大1/6、一般住宅用地で最大1/3)が解除され、土地の固定資産税額は最大6倍まで上昇する可能性があります。
課税は勧告を受けた翌年度の1月1日(賦課期日)を基準に決定されるため、対応が遅れるほど負担は重くなります(注6)。
※空家等対策特別措置法については以下の記事でも詳しく解説しています。
相続した実家・空き家をどうする?空き家対策特措法の強化と放置リスク
近隣トラブル・防犯上のリスク
管理されない空き家は、雑草の繁茂や害虫の発生、不審者の侵入、放火といったリスクが高まります。
近隣住民からの苦情やトラブルに発展することもあり、所有者としての管理責任(民法上の工作物責任等)を問われる可能性もあります。
ケーススタディ:茅ヶ崎市南湖五丁目の特定空家等への措置命令
茅ヶ崎市公式サイトの公表情報によると、市内南湖五丁目に所在する住宅について、空家等対策特別措置法第22条第3項の規定に基づき、所有者らに対して必要な措置をとることが命じられ、標識の設置により公示されました。
この物件では従前の建物所有者が死亡していたため、あらためて新しい所有者に対して命令が出し直されています(注7)。このケースは、「相続によって所有者が変わった空き家が、管理されないまま特定空家等に至り、行政の命令段階まで進んでしまう」という、湘南エリアで起こり得るリスクを象徴する事例といえます。
命令の段階まで進むと、次に控えるのは行政代執行(強制的な解体)であり、費用請求や社会的信用の低下といった重い負担につながりかねません。
最終的には行政代執行に至るケースも
改善が見られない特定空家に対しては、行政による助言・指導、勧告、命令を経て、最終的に「行政代執行」として強制的に解体が行われることがあります。
国土交通省の資料では、千葉県柏市における行政代執行の実例が紹介されています。
老朽化した鉄骨造3階建ての建物について、平成28年10月の勧告、平成29年2月の命令を経て同年4月に代執行が実施され、解体等工事費用は約1,040万円にのぼりました。
費用は所有者に請求され、支払われない場合は差押えの対象となります(注8)。
「自分には関係ない」と楽観視せず、命令段階に至る前の早めの対応が重要です。
「空き家=売却」だけが解決策ではない
空き家の対策というと「売却」や「解体」を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、湘南エリアのような賃貸需要の高い立地であれば、「賃貸に出す」という選択肢も十分に現実的です。
売却・解体に次ぐ「第4の選択肢」としての賃貸活用

所有権を維持したまま収益化できる賃貸活用は、将来的に自分や家族が住む可能性を残しつつ、資産を有効活用できる点が大きなメリットです。
売却や解体のように後戻りできない決断をする前に、まず検討したい選択肢といえます。
茅ヶ崎・平塚・寒川・藤沢は賃貸需要が見込めるエリア
茅ヶ崎・藤沢は都心へのアクセスの良さと海辺の暮らしを両立できる立地として、移住者やワーケーション目的の入居者からの人気が高まっています。
平塚・寒川についても、東海道線・相模線沿線の利便性や比較的手頃な家賃水準から、ファミリー層を中心に安定した賃貸需要が見込めるエリアです。
空き家を貸すことで得られるメリット
賃貸として活用することで、家賃収入による維持費の相殺はもちろん、人が住み続けることによる建物の劣化防止、防犯面の向上といった効果も期待できます。
「空き家のまま放置する」のと「賃貸として活かす」のとでは、5年後・10年後の資産価値に大きな差が生まれます。
空き家を賃貸物件として活用する際のポイント
空き家を賃貸物件として活用するにあたっては、いくつか押さえておきたい実務ポイントがあります。
リフォーム・原状回復のコストと考え方
長期間空き家だった物件を賃貸に出す際は、水回りの設備更新やクリーニング、内装の補修など、一定のリフォーム費用が発生します。
ただし、必要以上に手をかけすぎるとコストが回収しにくくなるため、「賃貸需要に見合った適正なリフォーム範囲」を見極めることが重要です。
※リフォームについては以下の記事でも詳しく解説しています。
賃貸物件のリフォームやリノベーションのタイミング
高齢者向け賃貸住宅リフォームで空室対策
賃貸に出す前に確認すべき法的・税務ポイント
相続登記が未了のままでは賃貸契約を締結できないケースもあるため、まずは名義や権利関係の整理が必要です。
なお2024年4月からは相続登記が義務化されており、正当な理由なく登記を怠ると過料の対象となる可能性もあります。
また、賃貸収入が発生することで確定申告が必要になるなど、税務面での事前確認も欠かせません。
「自主管理」ではなく「賃貸管理会社に任せる」べき理由
入居者募集、契約手続き、家賃回収、クレーム対応、退去時の精算など、賃貸経営には多くの実務が伴います。
特に所有者が湘南エリアから離れた場所に住んでいる場合、これらをすべて自分で対応するのは大きな負担です。
信頼できる賃貸管理会社に一括して任せることで、遠方にいても安心して物件を維持・活用することができます。
弊社の賃貸管理サービスでできること
弊社は茅ヶ崎・平塚・寒川・藤沢を中心とした湘南エリアで、賃貸管理を専門とする不動産会社として長年にわたり地域の物件をサポートしてまいりました。
空き家となっている実家や別荘についても、以下のようなサポートが可能です。
現状調査による活用可能性の診断から、賃貸化に向けたリフォーム提案、入居者募集・契約・アフターフォローまでをワンストップでご対応いたします。
地域特性を熟知したスタッフが、オーナー様に代わって物件を適切に管理いたしますので、「実家が空き家のまま」「別荘の使い道に困っている」という方は、まずは無料相談・診断からお気軽にお問い合わせください。
まとめ|湘南の空き家、放置する前にまずはご相談を
全国的に空き家が過去最多を更新するなか、茅ヶ崎・平塚・寒川・藤沢でも相続をきっかけとした空き家化が進んでいます。
茅ヶ崎市では海に近い南湖・海岸地区で空き家率が相対的に高いこと、平塚市で空き家の2割近くが腐朽・破損状態にあることが示すとおり、これは決して他人事ではありません。
放置すればするほど資産価値の低下や固定資産税の増加、最悪の場合は行政代執行による高額な費用負担といったリスクが大きくなっていきます。
しかし、「売却」だけが解決策ではありません。
賃貸需要の見込める湘南エリアだからこそ、賃貸活用という選択肢によって、資産を守りながら収益化することも可能です。
「どうしたらいいかわからない」という方こそ、まずは専門家に相談してみることが第一歩です。
弊社では、空き家の賃貸活用に関する無料相談を承っております。
茅ヶ崎・平塚・寒川・藤沢エリアで空き家にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
出典・参考資料(すべて総務省・国土交通省・各自治体の一次資料)
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」(令和6年4月30日公表。全国の空き家数・空き家率、都道府県別総住宅数を含む)
- 茅ヶ崎市「令和元年度茅ヶ崎市空き家実態調査結果について」(実態調査結果概要版PDFを含む)
- 平塚市「平塚市空家等対策計画」(令和5年3月改定)
- 藤沢市「藤沢市住宅マスタープラン 第2章 藤沢市における住宅と居住環境に関わる現状と動向及び課題」
藤沢市「藤沢市の空家対策」(藤沢市空家等対策計画) - 寒川町「空き家について」(寒川町空家等対策計画、2022年1月策定)
- 国土交通省「管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」(住宅用地特例の解除・固定資産税額の変動について)
国土交通省「住宅:空き家対策 特設サイト」(制度の解説) - 茅ヶ崎市公式ホームページ「特定空家等に必要な措置をとることを命じました」(対象地:茅ヶ崎市南湖五丁目)
- 国土交通省住宅局住宅総合整備課「空家等対策特別措置法について」(令和3年2月4日、資料4。千葉県柏市・新潟県十日町市における代執行費用の実例を含む)
※本記事の数値は各自治体・総務省・国土交通省等が公表した一次資料をもとに作成しています。最新の状況は各リンク先の公式ページでご確認ください。





